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繙巻録5月18日 命ひろったぞと言ひて逝きし雷の雨 征夫 (初出句) Ⅰ君のそのあまりもあっけない死に驚愕している。昨年末、発病、入退院を繰り返す中で、再手術後に「命をひろったぞ」と拳を上げてご子息に言ったという。そして、この5月14日(月)午前8:25帰らぬ人となった。わずか5ヶ月である。 Ⅰ君を偲び、彼の初期の詩をここに再録する。 おはなはたけ わたしのこころのなかの おはなはたけには いちりんのはなも ない むかし とおいむかし あのひとたちにかしたきり かえしにきてくれない たのしくたわむれていた むしたちも みんな いなくなってしまった かわりに かぜ と かげ が いつのまにかやってきて わたしをさそってくれた けど いつのまにやら おいてけぼり かぜ と かげ が いなくなって わたしのこころのなかには なにもなくなってしまった とりわけ さびしくも かなしくもなかったけど ただ むしょうに なつかしくて ただ なつかしくて なみだの ひとつぶ おちた なみだのおちたはたけ から むしょくの はな いちりん さいた この詩は文芸同人誌『風車』(創刊号1983年3月15日刊)掲載されたものの一編である。ここには彼の真正の心がある。 彼は『風車』の創刊同人で長く活躍してきた詩人であった。僚友であるⅠ君の死はまことに無念である。 by yukit1915 | 2007-05-18 14:16 | 風胡山房日乗
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